現在の会社に入社して32年。サラリーマンとして一応の目的といわれる部長という役職にまでは何とか就けた。もう十分仕事をしたと納得していたわけではないが、現在の年齢は56歳。残り2か月で57歳。会社の現状を見れば、この先に期待できる年齢を過ぎていた。そんなタイミングに合わせるかのように早期退職の募集が出た。退職金の割り増し支給が現在の月額給与の36か月分。つまり、現在の会社に定年まで勤めても残り3年。その3年分の給料が割増退職金として支給される。このまま残っても・・・真剣に応募するのか考えた。沢山の先輩方に相談した。大半の先輩は「そのまま残ったほうがいい」とのアドバイスだった。でも、自分の中で決めていた気がする。「応募しよう」と。相談は、その決断の背中を押してくれる人を探していたような気がする。悩みに悩んだ末応募することにした。この決断が、退職後数年間の地獄の様な苦しみに繋がる事を当時の私には気が付く事が出来なかった。
決断力のない私は、早期退職に応募する事を決断したにも拘わらずに、応募書類を出す事が出来ずにウジウジしていた。提出期限は3月31日。最後に数少ない応募を進めてくれた先輩に電話をしてみた。情けない。最後まで他人に背中を押してもらわないと自分の人生すら決められない。締め切り前日の30日にようやく提出する。そして、自分に言い聞かせる「あとは何とかなる。これでいいのだ」と。この会社での生活は4月いっぱい。あと1か月でプー太郎になる事が決定した瞬間だった。
30代までは転職も考えたことがあった。でも、40代以降はこの会社で定年まで働こうと思っていた。定年後は、年金が貰える歳まで再雇用をされて、責任のない立場で気楽に続けようと、なんとなくそんなことを考えていた。ところが、人生なかなか思い通りにいかないものだ。実際は定年を待たずに自ら会社を辞めることになるとは。全く考えてもいなかった。2016年4月現在で56歳。体力的に衰えた感覚は一切ない。まあ、普段から時間を見つけてランニングや筋トレなんかをしている事が大きいように感じているのだが。年を取ると朝早く目が覚めるとよく聞いていた。私に限ってはそんなことは無い。今でも休日などは10時ころまで寝ていられる。来月から毎日が休日だを思っても、今は実感がわかない。